大木助教,リスク研究学会大会発表論文賞を受賞

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大木聖子助教が,2011年度日本リスク研究学会にて大会発表論文賞を受賞しました.

受賞内容

東日本大震災後,西日本の住民を対象とした社会調査から,危険と感じる津波の高さを,震災以前よりも高い方へ変化させたという結果が得られました.危険と思う津波の高さについて,震災前には「1m程度」と回答していた人が70%いたのに対し,震災後は,45%程度に減少してしまっています.実際には,大人であっても50cmの津波に対して立っていることはできません.つまり,震災後に日本人は,津波の高さに対する認識をかえって危険な方へシフトさせてしまったということになります.

詳細な内容

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は2万名に近い犠牲者を出し,今も多くの被災者が不自由な生活を強いられています.この地震の被害のほとんどは,記録的な高さで来襲した津波によってもたらされました.

そこで,同志社大学心理学部の中谷内一也教授のご協力のもと,日本人の津波に対するリスク評価がどのように変化したかを社会調査しました.津波に対する正しいリスク判断ができれば,人的被害は大幅に減らせるという想いから始めた調査です.

調査では,「何メートルの津波を危険と感じますか?」「何メートルの津波で避難をしますか?」などの質問に答えてもらいました.みなさんはどのくらいを回答するでしょうか? 実は,海岸にいたとすれば,人は50cmの津波でまず立っていられないのです.木造住宅ならば,1mで半壊,2mの津波で全壊してしまいます.ですから,回答はせめて,「1mくらい」を答えてほしいと思っています.

今回,あれだけの津波被害を目の当たりにして,日本人は津波の恐ろしさをあらためて知りました.震災の一年前の調査では,「1~2mの津波を危険と思う」と回答した人が70%くらいいました.そして今回の震災後,この数値はなんと45%に減少してしまったのです.

原因は,記録的な高さを繰り返し聞いているうちに,「津波というのは10mや20mのものだ」と思い始めてしまったことにあると考えています.あれだけの被害にあったのに,教訓になるどころか,私たちは津波に対してかえって弱くなってしまいました.とても皮肉な結果です.

これを防ぎ,今後の津波避難に生かすには,「1mでも木造家屋を半壊させるのに,なんと10mが観測されました」「2mで全壊するのに,今は3mの大津波警報が出ています」などと,基準となる数値を意識して伝えることです.

少しでも多くの方にこの研究成果を知っていただき,これからの津波災害を減らしていきたいと思っています.

この研究をTBSさんが取り上げてくださいました(10月13日).高さ30cmの津波での実験などの映像が盛り込まれ,とてもわかりやすくまとめてくださっています.ぜひご覧ください.

TBS News i: 「1mの津波危険」,震災後は半数以下