津波に関する意識調査

2010年2月27日に南米チリで起きたチリ中部地震では大規模な津波が発生し,日本へも到達しました.これをふまえて,津波に関する日本人(ここでは日本に居住している者,とする)の意識調査を実施いたしました.このサイトではその速報結果を報告いたします.クロス解析など詳細な分析は,今月末をめどに追ってご報告いたします.


調査の基本情報

  • 調査実施者: 東京大学地震研究所 大木聖子助教,協力:東京大学医学部附属病院 井出博生助教
  • 実施期間: 2010年3月5日21:39 ~ 7日21:19
  • 有効サンプル数: 2060 (20代,30代,40代,50代,60代以上,の男女それぞれ206名)
  • 調査対象は今回の津波で避難指示が出された地域に限定していない.

調査結果(速報)

津波に関する知識についての設問では,「地震の発生と津波の発生とに関連があると思うか」「外国で起きた地震で発生した津波は日本まで到達することがあると思うか」などの問いに対しておよそ95%の正答率が得られるなど,日本人は津波に関する基本的な知識を有していることが伺える.一方で,「太平洋を伝播するときの津波の速度はどのくらいか」(設問・選択肢ともに下図参照)や「沿岸に近づくと津波の速度はどうなるか」といった問いには誤答も目立った.前者の正解は「ジェット機程度(正答率23%)」であり,後者は「遅くなる(正答率13%)」である.

  • 太平洋を渡る津波の伝播速度はどのくらいだと思いますか?(6択)



今回の津波では,第一波が来た後に避難住民が帰宅してしまったケースが見られたとの報告が,本調査とは別の調査から明らかになったようであるが,「津波には第一波だけではなく,第二波,第三波と来ることがあるか」との問いには「ある」との回答が95%あった.ただ本調査は津波が日本に到達してから1週間後に行ったものであるため,この期間中での報道などで初めて知った可能性もある.そこで,こういった現象をこの度の津波に関する報道等で知るに至ったかとの問いを設定したところ,35%程度がこの度初めて知ったと回答した.

さらに,第一波が30cmだった場合を踏まえての後続波の印象をたずねたところ,「後続波は大きくなる可能性がある」という回答が62%を占めた(設問・選択肢ともに下図参照).

  • 気象庁から「最大3mの津波が来る」という警報が出ている状況で,津波の第一波が30cmだった場合,第二波,第三波などの後続波はどうなると思いますか?(6択)



一方で「どのくらいの高さの津波を危険と思うか」との設問に「50cm以上」と回答した人は30%であった(設問・選択肢ともに下図参照).実際には地面からの高さ(浸水高)が50cm程度を超える津波で立っていることは困難である(隈本・他,2008).また,「どのくらいの高さの津波予測が出されたら避難するか」との問いに対しても「50cm以上」と回答したのは全体の25%であった.

  • どのくらいの高さの津波は危険だと思いますか?(7択)



速報版の最後に,気象庁が発表した警報を防災の観点から適切と捉えるかどうかを問うた調査結果を報告する.「必要以上に不安をあおった」との回答は24%にとどまり,63%が「適切だった」と回答している.「もっと注意を呼びかけるべきだった」との回答も5%あった(設問・選択肢ともに下図参照).最大で3mの津波が来るとした大津波警報の発令に関して,適切であったと捉える国民が半数を超えていることがわかった.

  • 今回,気象庁が発表した大津波警報や津波警報は防災上の観点から適切でしたか.


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